個人所得税及び住民税
- 暗号資産取引の概要
暗号資産の取引を大きく分類すると基本的には以下の取引の流れとなります。これらのそれぞれの取引について課税関係を説明します。
① 暗号資産の取得→②暗号資産の保有状態→③暗号資産の使用 - (暗号資産の取得)
暗号資産を取得しただけでは、税金は発生しません。お手数料は必要経費になります。 - (暗号資産の保有状態)
暗号資産を保有しているだけでは、税金は発生しません。つまり、含み益がでている状態であっても、利益にならず税金は発生しません、含み損がでている状態でも損失になりません。 - (暗号資産の使用)
暗号資産を使用したタイミングで初めて、所得税の計算をする必要があります。使用の仕方は大きく分類すると以下となっており、それぞれにおいて課税関係が異なります。
暗号資産の使用 | 所得の種類 | 課税時期 | |
---|---|---|---|
① | 日本円などに換金 | ・原則:雑所得(例外:事業所得) | 換金時 |
② | 資産を購入・サービスの提供を受ける。 | ・原則:雑所得(例外:事業所得) | 購入又はサービス提供 |
③ | 別の通貨と交換 | ・原則:雑所得(例外:事業所得) | 交換時 |
④ | 採掘(マイニング) | ・原則:事業所得(相当な資本投下) | 採掘時 |
(解説)
国税庁のタックスアンサーでは,「暗号資産を“使用することで”生じた利益」は課税対象とされています。この“使用”には,①日本円などに換金した場合だけでなく,②暗号資産で資産を購入又はサービス提供を受ける、③別の暗号資産との交換、④暗号資産の採掘,それぞれが該当するとしております。いずれも値上がり益等に課税されます。
① 暗号資産を日本円に換金した場合,暗号資産の取得価格から換金時の値上がり益(換金時の日本円レートで換算)が課税対象となります。
② 暗号資産で資産を購入又はサービスの提供を受けた場合、暗号資産の取得価格と購入した資産又はサービスの提供を受けたその対価に相当する金額に係る暗号資産の値上がり益が課税対象となります。
③ 別の暗号資産と暗号資産を交換した場合,その交換によって増加した暗号資産の利益分が課税対象となります。
④ 暗号資産は“採掘”という方法で無料で取得(コンピュータ等を使った一定の作業をする見返りとして交付)することも可能ですが,この取得に係る利益にも課税されます。
「換金」,「資産の購入又はサービスの提供を受ける」,「別の暗号資産との交換」,「採掘」,それぞれの時点が課税されるタイミングになるといい,すべて事業に係るもの以外は雑所得とされます。
- (納税額の計算)
暗号資産で得た利益は、それ以外の所得の水準に応じて以下の率で課税されます。
課税される所得 | 所得税率 | 住民税率 | 合計 |
---|---|---|---|
195万円 | 5% | 10% | 15% |
195万円超〜330万円 | 10% | 10% | 20% |
330万円超~695万円 | 20% | 10% | 30% |
695万円超~900万円 | 23% | 10% | 33% |
900万円超~1800万円 | 33% | 10% | 43% |
1800万円超~4000万円 | 40% | 10% | 50% |
4,000万円超~ | 45% | 10% | 55% |
(計算例)
たとえば、暗号資産で得た利益が、200万円でそれ以外の給与収入があり、給与所得の課税所得が500万円(実際の給料収入とは異なります。)ある方は、以下の計算となります。
(695-500)×30%+(200-195)×33%=60.15万円
納税額601,500円
(令和4年暗号資産に関する税務上の取り扱いについて)
6.暗号資産の法定評価方法は、個人は総平均法とし、法人は移動平均法としている。
7.暗号資産の分裂(分岐)により暗号資産を取得した場合は、その時点では課税対象とはならず、所得価額は0円となります。
8.非居住者又は外国法人が行う暗号資産取引 は、日本での申告は必要ありません。
9.国内の暗号資産交換業者を通じた暗号資産の譲渡には、消費税は課されません。
仮想通貨取引の節税に関するお問い合わせは下記までご連絡ください。
柄澤 将文公認会計士・税理士事務所
代表 柄澤 将文
e-mail:mkarasawa@nagatacho.co.jp
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